赤ちゃんの頭のかたちが気になるご家族の方へ
- 向き癖がなかなか治らない
- 後頭部が片側だけ平らに見える
- 絶壁のような頭になっていないか不安
- ヘルメット治療について話を聞いてみたい
このようなお悩みを抱える保護者の方が、近年増えています。
赤ちゃんの頭のかたちは、筋肉の緊張や姿勢、授乳や寝かせ方など、さまざまな要因によって変化します。特に生後3〜6か月ごろは頭蓋骨がやわらかく、形が変わりやすい時期です。

赤ちゃんの頭がゆがみは、大きく分けて次の2種類があります。
- 病気によって歪む「病的頭蓋変形」
- 子宮内や出産時、向き癖などによる「位置的頭蓋変形」
まずは、頭のゆがみが病気によるものか、そうでないかを、きちんと見極めることが重要です。
「様子を見ていいのかな?」「専門家に相談した方がよいのかな?」と迷ったときこそ、ぜひお早めにご相談ください。
「赤ちゃん頭のかたち外来」の概要
2025年9月より、自治医科大学脳神経外科と連携して「赤ちゃんの頭のかたち外来」を開設します。
内容 | 詳細 |
---|---|
診療日 | 毎週金曜日 午前(完全予約制) |
対象 | 生後1か月〜6か月のお子さん(年齢超過でもご相談可能) |
ご予約方法 | お電話または受付窓口まで |
2026年からは土曜日、日曜日も診療開始予定です。
※初診は保険診療でご対応致します。
主な診察内容
当外来では、日本頭蓋形状研究会の研修を修了した小児科医が対応し、以下の診療を行います。
- 医師による頭のかたちの評価(視診・触診・頭部レントゲン撮影)
- 向き癖に対する生活指導(授乳姿勢・寝かせ方・抱っこ方法)
- 理学療法士による個別評価と支援(保険診療)
- 首の可動域や筋性斜頚の評価
- 姿勢・運動発達の確認とアドバイス
- ご家庭でのケア方法の指導
- ヘルメット治療の適応判定と導入サポート
- ご希望に応じた栄養相談(保険診療)
赤ちゃんの頭の歪みについて
赤ちゃんの頭の歪みは、大きく2つのタイプに分けられます。
- 病気による「病的頭蓋変形」
- 向き癖や外圧による「位置的頭蓋変形」
まずはどちらのタイプか、正しく見極めることが大切です。
病的頭蓋変形(頭蓋縫合早期癒合症)
頭の骨のつなぎ目(縫合)が、本来よりも早く癒合し閉じてしまう疾患です。脳の発育や頭の形に影響し、放置すると顔面非対称や神経症状を伴うこともあります。早期診断と治療が必要で、手術が適応となる場合もあります。当院では、疑いがある場合、自治医科大学附属病院 脳神経外科と連携し、精密検査や診療・治療を進めます。
位置的頭蓋変形
向き癖(同じ方向を向いて寝ること)や、胎児期の姿勢、分娩時の圧迫などがが原因で起こる頭のゆがみです。
軽度〜中等度であれば、生活指導や理学療法での改善が期待できます。
しかし、重症の場合はヘルメット治療が有効です。治療開始の目安は遅くとも6か月までが一般的で、およそ6か月間の装着が推奨されます。
位置的頭蓋変形の種類
斜頭症
後頭部が斜めに歪んでいる症状を指します。就寝時や授乳時の向き癖や、産前の子宮内環境(狭い、双子・逆子等)などによる、片側後頭部への圧迫によるものとされています。
短頭症
後頭部が丸みを帯びずに平坦になっている症状を指します。一般的に絶壁(ゼッペキ)と呼ばれる形状です。仰向けに寝ることによって、両側の後頭部への圧迫が原因とされています。
長頭症
後頭部が大きく突き出した症状を指します。横向きに寝ることで生じる、側頭部への圧迫が主な原因になります。病的な変形の特徴と似ており、早期鑑別が必要です。
頭のゆがみの予防
寝かせる位置の工夫
赤ちゃんの頭に長時間同じ方向から圧力がかからないようにすることが大切です。
- 授乳時は都度、頭と足の位置を入れ替えて寝かせる
- 両親の話しかける方向を変える
- 赤ちゃんの寝る向きに注意を払う
タミータイム(うつぶせ時間)
首座りやうつ伏せの練習として用いられますが、頭のゆがみ予防の方法としても有効です。
分娩施設からご自宅に戻られたら、1日2.3回、3〜5分くらいから始めてみましょう。
保護者が見ている傍で、おむつ替えの直後、目が覚めた後に行うのが望ましいです。
ただし、まだ顔を動かせない時期のうつ伏せは窒息の危険がありますので、絶対に目を離さず見守りましょう。
寝かせる際は仰向けに寝かせます。
ヘルメット治療とは(自費診療)
当院では、JAPANメディカルカンパニー社製「Qurum Fit(クルムフィット)」による、オーダーメイドの頭蓋形状矯正ヘルメット治療をご提供しています。
生後2~6ヶ月がヘルメット治療開始の適齢期ですので、頭のかたちに疑問やご不安があるようでしたら、早期にご相談ください。
赤ちゃんの頭の骨はやわらかいため、日常生活のちょっとしたことで歪んでしまいがちです。この歪み改善のために、頭蓋形状矯正ヘルメットを装着することで、自然な形に頭蓋骨を成長させていく方法が「ヘルメット治療」です。
頭蓋骨がよりやわらかく、頭の大きさが急激に大きくなってくる生後2~6ヶ月の間に開始すると、より高い効果が期待できるとされています。
また、治療開始後のサポートが非常に重要になります。
赤ちゃんの成長や治療の進捗を見定めたうえで、適切なメンテナンスを行うためには、経験豊富な医師とメーカーの協同が必須です。
強度・軽さを両立したヘルメットを、最先端3Dプリンタを駆使した完全オーダーメイドで作成します。
ヘルメット治療の流れ
1,レントゲン検査
病的な頭蓋変形(頭蓋縫合早期癒合症の対象)がないかを確認します。
2,適応診断をする
視診・触診を行い、重症度(レベル1~4)を判定し、月齢を考慮したうえで、ヘルメット治療の適応を判断します。
3,ヘルメットをつくる
3Dスキャナー撮影データをもとに、現在の形から、矯正終了後の頭の形を想定したオーダーメイドのヘルメットを作成します。
4,治療スタート
お申し込み時から2週間前後で、ヘルメットの装着を開始します。基本的に、入浴以外の1日23時間、6ヶ月前後の装着を目安にしています(個人差があります)。
5,定期的な診察
約4週間ごとに診察をします。また、装着から1−2ヶ月後および、卒業時に3Dスキャン検査を行い、ヘルメットの装着状況や矯正後の頭の形を確認します。
また、頭の成長や矯正の改善度に合わせ、ヘルメットの再調整も致します。
6,治療終了
治療終了時期は、矯正後の頭蓋変形の改善度、頭蓋成長の度合い、治療の為の装着時間確保の有無などを踏まえたうえで、専門医が判断します。
ヘルメット治療の費用(税込)
- 550,000円(税込)(評価・採型・作製・指導・調整込)
- 再診料:3300円(税込)/回
参考リンク
ヘルメット治療について相談したい方は、当院が導入している「Qurum Fit(クルムフィット)」のメーカーが運営する無料相談サイトをご利用いただけます。