喘息アレルギー外来

当院ではアレルギー専門医が常勤し、気管支喘息・アトピー性皮膚炎・アレルギー性鼻炎・食物アレルギーなどの診療を専門的に行っております。
喘息アレルギー外来は完全予約制です。
ご希望の方はお電話か来院時に直接スタッフに声をかけて下さい。

食物アレルギー負荷試験について

食物アレルギー

食物アレルギーは血液検査や皮膚試験だけでは正しく診断することができません。
検査が陽性でも必ず症状が出るとは限らず、陰性であってもごくまれに症状が出る場合があります。
食物経口負荷試験とは、アレルギーが疑われる食物を実際に食べて症状を観察する検査です。この検査によってどのくらいの量を食べたらどんな症状が出るかを直接確認することができます。

症状が出なければ除去の解除が進みます。症状が出た場合(陽性)でも安全に食べられる量が確認できれば少しずつ摂取を開始できる可能性があります。
この検査は、(1)食物アレルギーを診断する。(2)食物アレルギーが治ったかどうか(耐性を獲得したかどうか)を確認する。といった目的で行います。

喘息アレルギー外来
(よくある質問)

気管支喘息

喘息って何?

喘息は、空気の通り道である気管支が狭くなって、息が苦しくなる状態が、繰り返し起こる病気です。気道の慢性的な炎症が長く続き、段々と気管支粘膜の組織に変化が起こり、元に戻りにくくなってくる病気で早期にしっかりと治療することが大切な病気だと考えられています。

喘息って何?
患者数はどれくらいなの?

現在日本では、子供全体の約5~7%が喘息とされており、その数は増え続けています。

喘息の治療について教えてください。

喘息治療薬には、2つの目的があります。
咳がひどい時にする治療 → 急性期の治療
発作を予防するために毎日定期的に行う→ 長期管理薬

喘息治療薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬とは?

オノン®、シングレア®、キプレス®という薬剤名です。
これらは、ロイコトリエンという強力な気道収縮物質の働きをブロックする薬で、抗アレルギー薬に分類されます。
現在、喘息発作予防の内服治療薬としては中心的な位置を占めるようになっています。
アレルギー性鼻炎の鼻閉(鼻づまり)に対しても有効な薬剤です。喘息の患者さんはアレルギー性鼻炎を合併する頻度が高いので、一つの薬剤で喘息とアレルギー性鼻炎両方に有効です。

吸入ステロイドって何?

喘息の病態の中心は「気道の慢性炎症」であり、強力な抗炎症薬である吸入ステロイド薬が喘息治療の主体となってきました。
吸入ステロイド薬のおかげで、喘息発作で死亡する患者さんが減少しました。ステロイド薬と聞いただけで不安を感じる方がいますが、医師の指示どおりに規則正しく使用すれば、炎症を抑える力を十分発揮する薬です。
この薬の大きな長所は、薬が気道に直接作用するので、効果が高い割に副作用が少ないことです。

喘息は大人になれば自然に治りますか?

子供の喘息は大人になったら治るから余り薬に頼らずに、心身を鍛えて喘息に負けないようにしようというような精神論に近いことをよく言う人もいますが間違いです。
発作を放っておくのはよくありません。

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎って何ですか?

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が繰り返し出現する病気です。
診断基準を見ますと、
(1)そう痒 (2)特徴的皮疹と分布 (3)慢性・反復性経過(乳児では2ヵ月以上、その他では6ヵ月以上を慢性とする) とあります。

何でアトピー性皮膚炎になってしまうの?

発症要因は「皮膚のバリア機能障害」です。
遺伝的な異常などにより皮膚がもろくなっており、そのため皮膚が乾燥しやすくなり、加えて壊れた皮膚にアレルゲン(ダニ・カビなど)や刺激物(汗・細菌など)が侵入し皮膚の炎症を引き起こしてしまうのです。

どんな治療をすれば治るの?
  • 1)原因・悪化因子を取り除く 原因・悪化因子は、個人により異なります。また、季節や年齢・都会・地方・家庭の生活スタイルなどにより異なります。食物(卵、牛乳、小麦、大豆など)・汗・乾燥・掻く・よだれ・洗剤・ダニ・ハウスダスト・花粉・ペット・ストレスなど、さまざまな原因・悪化因子があります。
  • 2)スキンケア とても大切です。
    皮膚を清潔に保ち乾燥を防ぐ事がアトピー性皮膚炎の予防には何よりも大切です。
    アトピー性皮膚炎発症の主たる要因が皮膚のバリア機能障害にあるからです。
  • 3)薬物療法 薬物療法の中心は、ステロイド外用薬による皮膚の炎症制御となります。
    タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)も2歳から使用できます。
ステロイド軟膏って?安全?

標準的なステロイド軟膏によって、炎症を抑えることが大切です。
よくアトピー性皮膚炎は皮膚の火事と例えられます。
皮膚で起きている火事(アトピー性皮膚炎)に消化器や放水(ステロイド軟膏)を使用し鎮火していくのが治療のイメージです。
なかなか治らない人の中にはステロイド軟膏についての誤解がある方がいます。
ステロイドはもともと毒などではなく、誰もが副腎から作られる人間が生きていくためには欠かすことが出来ない重要なホルモンです。 ステロイドの副作用とは、主に内服薬などの全身投与を長期に使用すると成長を抑制したり、骨粗鬆症、白内障、胃潰瘍が出来やすくなったりなどですが、このような副作用はステロイド軟膏をきちんと使用している場合はおこりません。しかし副作用が全くない薬も世の中には存在しません。
副作用をゼロにするには薬を全く使用しない事となってしまいます。

大切なことは使用する効果によるメリット、そのメリットが得られる確率と使用する副作用によるデメリットとその副作用のでる確率の比較です。

実際に起こりうるステロイド軟膏を使用しおこる可能性のある主な副作用は次の2つです。

    1)皮膚の萎縮
  • 問題になるのは顔面の酒さ様皮膚炎です。強いステロイド剤を顔面に長期に使用した場合に顔が真っ赤になってしまうことがあります。顔面に使うステロイドは皮膚萎縮をおこしやすいのでランクを落とすなど注意が必要です。現在ではプロトピック軟膏をうまく使うことで完全に回避できます。
    アトピー性皮膚炎が改善した後、色素を持った細胞が集まってきて、色素沈着がみられることがよくありますが、これもよくステロイドの副作用と誤解されますが副作用ではありません。
  • 2)皮膚の感染 にきびや毛嚢炎などの皮膚の感染症がおきやすくなることはあります。
プロトピック軟膏って何?

プロトピック軟膏はステロイドホルモンではない免疫抑制薬です。年齢は2歳以上の小児に使用できます。
ステロイドホルモン作用による血管拡張・皮膚萎縮などの副作用がありません。プロトピック軟膏だけで皮膚炎を良好にコントロールできるので、ほとんどステロイド軟膏を使用しなくてもいい人も増えてきました。
きちんと使用量を守れば経皮吸収されたプロトピックが血中で連続して検出されることはありませんので安心してください。通常の使用では使用制限量を超えることはまずありません。皮疹が広範な場合でも、まずステロイド軟膏を使用して皮疹を軽快させてから、プロトピック軟膏に移行しますので、制限量以上の使用に至ることはありません。
紫外線に対する注意も必要です。日光に過度に当たる日には、プロトピック軟膏は塗らないで下さい。通常の通学や遊びの時は外用していただいてかまいません。

最近よく聞くProactive treatmentって?

症状が出たとき(皮膚が赤く、ブツブツしている時)に塗り、やめると症状がでてまた塗る。このような経験をお持ちの方も多いかと思います。そこで注目されている方法が"Proactive treatment"です。
皮膚の見た目がきれいになった段階で、すぐにステロイドやタクロリムスを中止せずに、一見して何もないと思われる皮膚に対して週に1-2回薬を塗り続ける方法です。
この方法により、炎症の根本を治療し、きれいな皮膚の状態が維持されるようになります。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎って何?

ハウスダストや花粉などで鼻粘膜が刺激されて起こる鼻炎をアレルギー性鼻炎といいます。
最近では発症の低齢化も進み、子どものアレルギー性鼻炎も多くみられます。喘息のお子さんのアレルギー性鼻炎の合併は多いです。

どんな症状があるの?

喘息は、空気の通り道である気管支が狭くなって、息が苦しくなる状態が、繰り返し起こる病気です。気道の慢性的な炎症が長く続き、段々と気管支粘膜の組織に変化が起こり、元に戻りにくくなってくる病気で早期にしっかりと治療することが大切な病気だと考えられています。

どうやって診断するの?

発症時期や症状の程度、家族のアレルギー既往歴などについて詳しく問診します。
アレルギー性鼻炎を疑ったら、原因となっている抗原を特定するための皮膚反応検査・血中特異的IgE抗体検査・鼻粘膜誘発テストなどを行います。

【アレルギー性鼻炎診断のための主な検査】

  • 鼻汁中好酸球検査 風邪の初期症状とアレルギー性鼻炎の症状を見分ける検査。スライドガラスに鼻みずをとり、試薬を加えて好酸球の数値を調べる。好酸球の数値が増加しているとアレルギー性鼻炎と診断される。
  • 皮膚反応検査 抗原を特定する検査。抗原液を注射したり、ごく浅い傷を作って抗原液をたらしたりして、皮膚の反応をみる。抗原に対する抗体をもっていると、かゆみや腫れなどの症状が現れる。検査結果に影響を及ぼすため、薬を服用している場合は必ず医師に相談してください。
  • 血中特異的IgE抗体検査 抗原を特定する検査です。採血し、抗原に対する抗体の有無を調べます。当院でよく使用されている検査です。
どんな治療があるの?

治療法は、(1)抗原の除去や回避・(2)薬物療法・(3)特異的免疫療法(減感作療法)・(4)手術の4つに分かれます。
重症度や抗原の種類、患者さんのライフスタイルによって治療法を選択します。

  • 抗ヒスタミン薬 くしゃみや鼻水の原因となるヒスタミンの作用を抑制する薬です。 ザジテン®、セルテクト®、ゼスラン®、エバステル®、ジルテック®、アレロック®、アレジオン®、クラリチン®、アレグラ®等、非常に多くの種類の抗ヒスタミン薬が発売使用されています。
  • 点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬) アレルギー性鼻炎の患者さんは、直接患部に投与する点鼻薬が無駄のない有効な治療法と言えます。 鼻粘膜の炎症を抑え、症状全般に効果がある薬です。点鼻薬は数日で効果が現れ、副作用が少ないです。
  • 特異的免疫療法(減感作療法) 唯一の根本的な体質改善の方法として、抗原特異的免疫療法(減感作療法)と呼ばれる治療法です。 患者さんのアレルギーの原因(抗原)のワクチンを、ごく少量から投与し、少しずつ量を増やしていって、アレルギーが起きないようにしていきます。

現在国内で多く行われている方法は注射法ですが、舌下免疫療法など痛みを伴わない方法も2014年秋頃スギ花粉から保険治療から始まる予定です。(欧米では舌下法も一般的に行われています)。 対症療法ではなく根本的な治療法として、大変魅力があるものだと思います。

食物アレルギー

食物アレルギーって何ですか?

食物アレルギーとは、卵・牛乳・小麦・大豆などの原因食物を摂取した後に、免疫学的機序を介して、皮膚の赤み・じんましん・咳・喘息・嘔吐・アナフィラキシーなどが起こる現象を言います。

どうやって診断するのですか?

食物アレルギー診断のゴールドスタンダードは食物アレルギー負荷試験です。
血液検査(特異的IgE)の結果が陽性でも、実際には食べることができる場合があります。検査だけで除去するのは過剰な除去になる場合がありますので注意が必要です。
心配だからアレルギーでもないのに除去するのは絶対にやめましょう。また食物アレルギーのあるものも完全除去ではなく、必要最低限の除去がとても大切です。

食物アレルギー負荷試験について教えてください。

食物アレルギーは血液検査や皮膚試験だけでは正しく診断することができません。
検査が陽性でも必ず症状が出るとは限らず、陰性であってもごくまれに症状が出る場合があります。
食物経口負荷試験とは、アレルギーが疑われる食物を実際に食べて症状を観察する検査です。食物アレルギーの診断に最も大切な検査です。
この検査によってどのくらいの量を食べたらどんな症状が出るかを直接確認することができます。
症状が出なければ除去の解除が進みます。症状が出た場合(陽性)でも安全に食べられる量が確認できれば少しずつ摂取を開始できる可能性があります。
この検査は、
(1)食物アレルギーを診断する。
(2)食物アレルギーが治ったか(耐性を獲得したかどうか)を確認する。
以上の目的で行います。

食物アレルギーでよくある間違いって何ですか?

よくある誤り
「牛乳アレルギーであれば必ず牛肉も除去すべきである」
「鶏卵アレルギーであれば必ず魚卵も除去すべきである」
などは誤った認識であり注意すべきです。

アナフィラキシーって何ですか?

食物アレルギーで起こる症状の中で最も重症なものがアナフィラキシーです。
さきほど述べたアレルギーの症状には皮膚(蕁麻疹、湿疹)や粘膜系(鼻汁、鼻閉、眼瞼浮腫、喉のイガイガ)、呼吸器系(咳、喘息)、循環器系(血圧低下)、消化器系(腹痛、嘔吐、下痢)、神経系(意識障害)の症状があり、それぞれの臓器では軽いものから重いものまで様々な症状があります。
アナフィラキシーとはこれらのうちで2つ以上の重い症状が同時に起こったものを指します。たとえば全身の蕁麻疹と喘息が起こった時や、繰り返す嘔吐と同時に動悸がするなどがアナフィラキシーと言います。 さらに血圧が下がって、意識がもうろうとした症状もみられたときはアナフィラキシーショックといって、起こったらできるだけ早く適切な処置や治療をしないと生命に危険が生じます。